浜離宮ランチタイムコンサートvol.241 中野翔太 ピアノリサイタル

多彩なジャンルの名曲を縦横無尽に描き切る

中野翔太 (c)Taira Tairadate

 15歳のとき(1999年)紀尾井ホールでデビュー・リサイタルを開き、同年渡米。ジュリアード音楽院プレ・カレッジおよび同音楽院で学び、これまでに小澤征爾指揮ウィーン・フィル、アシュケナージやデュトワが指揮するN響などと共演を重ねてきた中野翔太。いっぽうで、松永貴志との即興も交えた2台ピアノなど、ジャズ演奏や作編曲でも才能を発揮している。8月の「浜離宮ランチタイムコンサート」は、そんな中野の軌跡を映し出す90分になりそうだ。

 中野はジュリアード留学中に、なぜ日本人である自分が西洋の音楽をやっているのか、意味を見出せなくなってスランプに陥っていたとき、ふと耳にした坂本龍一の音楽に心を救われ、暗闇から抜け出す糸口を見出したのだという。晩年の坂本と交流し、作品のレコーディングにも参加した中野が今回選んだ楽曲は「水の中のバガテル」と「戦場のメリークリスマス」。また、留学中にニューヨークで生きたジャズに触れた中野が即興的な要素も交えて演奏するガーシュウィンの「サマータイム」(編曲も担当)や「ラプソディ・イン・ブルー」も聴きものだ。なお、前半にはシューマン=リストの「献呈」や、ベートーヴェンの「月光」ソナタといった王道クラシックがプログラムされており、知的かつ明晰なピアニズムをたっぷり味わうことができるだろう。

文:原典子

【Information】
浜離宮ランチタイムコンサートvol.241
中野翔太 ピアノリサイタル

2024.8/27(火)11:30 浜離宮朝日ホール

プログラム
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397
シューマン=リスト:献呈 S566/R253
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」 嬰ハ短調 op.27-2
坂本龍一:水の中のバガテル
坂本龍一:戦場のメリークリスマス
ガーシュウィン(中野翔太編):サマータイム( 歌劇《ポーギーとベス》より )
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー

問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/