生き様そのものをみせるダンス
黒沢美香は、黒沢美香である、としか言いようのない独自の道を行く存在である。コンテンポラリー・ダンス黎明期に高いダンステクニックで一躍注目を集めたが、絶えず自分のスタイルからはスルリと脱け出してダンスとは何か、身体とは何かということを探り続けてきた。
『薔薇の人』は黒沢が1999年から続けているソロシリーズ。今回のテーマは「deep」。会場も普通の劇場ではなく横浜市大倉山記念館である。昼夜2公演で「昼間は密やかに会議室で、夜は開け放ったホールにて踊る」という。だがこの建物自体が昭和7年に建てられたギリシャ神殿風の歴史的建造物なので、「会議室」といってもその雰囲気はどえらいものなのである。
安住せず、つねに身体を精神の先端に置き続ける姿勢は真摯で、感動的ですらある。決まったフレーズを美しく踊ることばかりがダンスではない。生き様そのものが迫ってくるダンスの凄みを味わおう。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)
3/20(金)、3/21(土・祝) 横浜市大蔵山記念会館
各日14:00 集会室/19:30 ホール
問:ダンスインディード090-4429-5747/ 03-3227-0279(FAX)
http://mikakurosawa.official.jp