小林研一郎(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

コバケンの十八番が炸裂!

 「炎のコバケン」というキャッチフレーズそのままに、情熱にみちた指揮で多数のファンをもつ小林研一郎。この4月9日には75歳の誕生日を迎えるが、精力的な活動は衰えを知らず、今シーズンも全国各地、そして在京の各オーケストラで引っ張りだこの人気である。
 3月は東京フィルの指揮台に登場、3公演の定期演奏会を指揮する。曲目は堀米ゆず子とのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番だけが3公演共通で、メインはベルリオーズの「幻想交響曲」(3/12,3/13)、ベートーヴェンの「英雄」(3/15)と異なり、また「英雄」の日には「エグモント」序曲も演奏される。
 「幻想交響曲」はチャイコフスキーの後期シンフォニーとともに、コバケンの十八番のなかの十八番として名高い曲だ。ディスクでも最新のアーネム・フィルとの演奏(オクタヴィア・レコード)など、これまでに数タイトルをリリースしている。いずれも一音一音に気迫のこもったカロリーの高い演奏だけに、今回も期待できる。一方のベートーヴェンは、大晦日恒例の交響曲全9曲連続演奏会でもおなじみ。流行のピリオド・スタイルとは無縁の重厚で巨大な造型に、コバケンの真骨頂がある。
 ヴァイオリン独奏の堀米は、この協奏曲を27年前の1988年にシャーンドル・ヴェーグの指揮で録音している。若々しく伸びやかな名演だったが、それから四半世紀の歳月をかさねて、どのようなモーツァルトを歌うのか。この点も注目である。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

第92回 東京オペラシティ定期シリーズ
3/12(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第860回 サントリー定期シリーズ
3/13(金)19:00 サントリーホール
第861回 オーチャード定期演奏会
3/15(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
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