圧巻のプロコフィエフ「戦争ソナタ」
深く熱を帯びた音圧と、豊潤な叙情性に満ちたロシア・ピアニズム。その確かな継承者として知られるイェフィム・ブロンフマンが、切望されていたリサイタルを開く。アンサンブルや協奏曲の共演者として来日を重ね、その圧倒的な熱演に人気を博すブロンフマンだが、日本でのソロリサイタルは7年ぶりとなる。予定されていた2009年のリサイタルは、インフルエンザのために空港で足止めされてしまい中止になったので、ますますファンの渇望高まる中での開催だ。
嬉しいことに今回は、彼の息づかいまでもが届きそうなトッパンホール(約400席)と、温もりある残響美が期待できる、すみだトリフォニーホール(約1800席)の2つのホールで2日続けて開催される。プログラムはブロンフマンがもっとも得意とするプロコフィエフ。このロシア人作曲家のピアノ・ソナタと協奏曲の全曲録音を行い、いずれも高い評価を獲得しているブロンフマンが今回選曲したのは、第二次世界大戦中に書き上げられたピアノ・ソナタ第6・7・8番だ。「戦争ソナタ」と呼ばれるこの3つの作品には、激しいリズムが生み出す緊迫感、複雑なハーモニーがもたらす陰影が張り巡らされ、プロコフィエフのユーモアや叙情性も余すところなく発揮されている。ブロンフマンのどこまでも深みある音色、繊細さと豪快さを持ち合わせたテクニック、そして大局観に優れた音楽構築力で、きっと忘れられない「戦争ソナタ」を聴かせてくれることだろう。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)
3/3(火)19:00 トッパンホール
問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com
3/4(水)19:00 すみだトリフォニーホール
問 トリフォニーチケットセンター03-5608-1212
http://www.triphony.com