人は幾つになろうとも、さらなる頂を目指すことができる。90歳を超えてなお、“現役最高齢のチェリスト”として精力的な演奏活動を続け、このことを自ら体現した青木十良。昨年9月に99歳で世を去った後も、彼がチェロの音色を通じて伝えたメッセージは、人々の心になお、灯をともし続けている。青木に師事した東京フィル首席チェロ奏者の金木博幸、最後の弟子といえるピアノの佐々木秋子、同フィルのソロ・コンサートマスターを務める荒井英治など、青木を慕う有志たち総勢9名が出演し、追悼コンサートが開催される。会場は故人が92歳でリサイタルを開いた、ゆかりの場所であるsonorium。青木も弾いたハイドンの協奏曲第2番を金木のソロで披露するほか、一線オーケストラで首席級を務める名手たちが、カサド「親愛の言葉」やフィッツェンハーゲン「アヴェ・マリア」など、故人が愛した名旋律を、心を込めて奏でる。そして終演後には、青木が愛したワインとチーズ、生ハムを用意しての懇親会も。聴衆と出演者の別なく、「永遠の巨匠」の思い出を語り合いたい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
3/2(月)19:00 sonorium
問:sonorium 03-6768-3000
http://www.sonorium.jp