オペラ《クリストフォロス、あるいは「あるオペラの幻影」》

20世紀前半ヨーロッパの世相を映し出す歌劇を日本初上演!

上段左より:田辺とおる/舘 亜里沙/佐久間龍也
下段左より:羽山晃生/ヨズア・バルチュ

 世界規模で再評価が進む近代オーストリアの作曲家フランツ・シュレーカー(1878〜1934)のオペラが日本で初めて、本格的な演出を伴った舞台で上演される。バリトン歌手で、国際声楽コンクール東京などを主催するカンタームスの代表理事を務める田辺とおるが公演監督を担い、6月22日&23日に清瀬けやきホールで日本初演するのは、1924から28年頃に作曲された「プロローグ、2幕3場とエピローグによる《クリストフォロス、あるいはあるオペラの幻影》」。

 前衛の作風とユダヤのルーツにより「退廃音楽」の烙印を押され、1933年にフライブルクで予定された世界初演はナチスの妨害で幻に終わった。作曲家である主人公アンゼルムに自身の音楽観を語らせ、バロックから後期ロマン派に至る過去の音楽、新ウィーン楽派、当時最先端の前衛様式、キャバレー音楽までを縦横無尽に融合させる。さらにフロイトの精神分析やヴァイニンガーのジェンダー論まで織り交ぜた実験作。

 日本初演は舘亜里沙の演出、佐久間龍也の指揮、クライネス・コンツェルトハウス(コンサートミストレス=三戸素子)の弦楽合奏とエレクトーンを得て、ダブルキャストで臨む。歌手にはカンタームス主催の各コンクール上位入賞者のほか、田辺、羽山晃生(テノール)、ヨズア・バルチュ(バリトン)ら審査員クラスを起用した。

 6月2日には大泉学園ゆめりあホールで舘、佐久間、田辺らが解説にあたるプレイベントも予定している。
文:池田卓夫
(ぶらあぼ2024年5月号より)

2024.6/22(土)、6/23(日)各日14:00 清瀬けやきホール
問:カンタームス03-5926-3548 
https://ivctokyo.com/christophorus/
※配役などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。