新時代の旗手がつむぐ熱きサウンド
先を歩いていたギタリストたちが全員「えっ?」と振り向いた…。と言うのは大袈裟かもしれないが、ティボー・ガルシア(1994年生まれ)の出現は新たな時代の始まりを感じさせてくれる。
フランス、トゥールーズ出身でスペイン系のティボーは14歳から21歳までにトライしたすべての国際コンクールで優勝。16歳からパリ国立高等音楽院で学び、演奏活動も積極的に行ってきた。日本映画『マチネの終わりに』に出演したことでも知られる。
彼の音色の美しさは誰もが賞賛するものだが、リサイタルのプログラミングも常に興味深い。5月30日の浜離宮朝日ホールでは、中南米で活躍した孤高のギタリスト、アグスティン・バリオス=マンゴレの傑作をはじめ、クラシック・ギターの歴史を辿るように19世紀はじめのジュリアーニ、パガニーニの大曲を並べ、これもまた日本のギター・ファンには馴染み深い作品であるセルジオ・アサドの「別れ〜日本映画『夏の庭』より」、そして現代ギターの最高峰とも言えるブローウェルの「黒いデカメロン」を置く。それぞれが光り輝く作品であり、その輝きを巡るように歩むガルシアの繊細で大胆な演奏は、ふと初夏の夜空を見上げたときの新鮮な喜びを思い出させてくれるだろう。
文:片桐卓也
【Information】
2024.5/30(木)19:00 浜離宮朝日ホール
出演
ティボー・ガルシア(ギター)
曲目
バリオス:マズルカ・アパッショナータ、マシーシ、郷愁のショーロ、森に夢見る、蜜蜂、大聖堂
ジュリアーニ:大序曲 op.61
パガニーニ:ロマンス ~ グランド・ソナタ イ長調 op.39より
パガニーニ(ジョン・ウィリアムス編):カプリス第24番 ~ 24のカプリス op.1より
セルジオ・アサド:別れ ~ 日本映画『夏の庭』より
レオ・ブローウェル:黒いデカメロン
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/