被災地の文化復興を支援する「ARK NOVA」プロジェクト始動

 スイスのルツェルン・フェスティバルと日本の音楽事務所KAJIMOTOは、東日本の文化復興のためのプロジェクト「ARK NOVA—A Tribute to Higashi Nihon〜東日本への贈りもの」(以下ARK NOVA)を共同で立ち上げた。「東日本大震災後の被災地の文化復興に貢献したい」という両者の想いにより発足した「ARK NOVA」は、国内外のアーティストが可動式テント型ホール(このホール自体の名称がARK NOVA)とともに東日本の被災地を継続的に訪れる文化復興プロジェクト。クラシック音楽、ジャズ、ダンスなどさまざまなジャンルのアーティストや団体が参加するユニークなプロジェクトになる予定。ホールのコンセプト・デザインは建築家の磯崎新氏、テントのシェル・デザインはイギリスの彫刻家、アニッシュ・カプーア氏、ホールの音響コンサルタントは永田音響設計の豊田泰久氏が担当する。ARK NOVAの素材は、すみやかに設置・解体が可能であるPVC(ポリ塩化ビニル)のような膜素材の使用を検討中。空気で膨らませて設営する空気膜構造で、テントの各部材は分割してトラックに収納する。大きさは、長さ72メートル・幅40メートル・高さ23メートル。予定席数は約500〜700席ほどで、フル・オーケストラから小規模室内楽までさまざまな編成に対応する可変舞台が設置される。ルツェルン・フェスティバルと関係の深い著名人により構成されたアーティスティック・コミッティー(芸術委員会)がプログラミングに携わる予定。現在、ルツェルン・フェスティバルとKAJIMOTOは、被災地の人々が無料で公演を鑑賞できるよう、スポンサー企業や後援者に出資を募っている。
 8月9日には「ARK NOVA」の関係者による概要発表がスイス・ルツェルンで行われた。この模様は東京国際フォーラムホールAおよびインターネットで生中継され、多くの人々がリアルタイムでスイスからの映像を観た。発表の最後にはクラウディオ・アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団によりマーラーの交響曲第10番から「アダージョ」が演奏された。

ARK NOVAウェブサイト(日本語訳のページあり) HP
KAJIMOTO HP