各界の先端を走るアーティストが共創する悠久の物語
子どものためのコンサートというと、本誌で紹介される公演はクラシックが多いが、東京文化会館の「シアター・デビュー・プログラム」の一環として新制作される『木のこと The TREE』は、小学生を対象とした演劇とジャズのコラボレーション作品。
ジャズといっても、本公演の音楽監督・作編曲を務める林正樹はジャズだけに限らず、クラシック、ポップスなどあらゆるフィールドのトップ・アーティストと仕事をしてきたピアニスト・作曲家。どんなステージでも当意即妙かつ繊細な演奏を繰り出す林のピアノは、いつも静かな存在感を放っている。今回は、書き下ろしの音楽やスタンダードな名曲を、「林正樹グループ」で活動をともにする藤本一馬(ギター)、須川崇志(コントラバス/チェロ)という多彩なバックグラウンドをもった音楽家たちとともに奏でる。
舞台の脚本・演出を手がけるのは、演劇ユニット「ブス会*」を立ち上げ、現代日本を生きる女性たちに焦点を当てた作品を発表してきた劇作家・演出家・映像監督のペヤンヌマキ。自身が聞いた話にヒントを得て、ある女の子が生まれた年に植えられた大きな木の物語を書き下ろした。人間よりも長い年月を生きる「木の視点」から見た世界を、南果歩、金子清文、古澤裕介の俳優陣と、我妻恵美子によるダンスで描く。「共生」「居続けること」をテーマにしたコラボレーションは、子どもたちの創造性を豊かに広げてくれることだろう。
文:原 典子
(ぶらあぼ2024年4月号より)
2024.7/12(金)19:00、7/13(土)14:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp