円熟の巨匠が紡ぐ優美な旋律に酔いしれる
伝説的なヴァイオリニストのひとり、ボリス・ベルキンが今春来日する。7歳でコンドラシンとの共演でデビュー、1973年にはソヴィエト連邦ヴァイオリンコンクールで優勝。74年に西欧移住後は世界中で活動を展開し、バーンスタインはじめ大指揮者との共演多数。無二の濃密な演奏で、20世紀の巨匠たちの息吹をいまに伝える貴重な存在だ。
来日を重ねて国内楽団との共演も多いベルキンが、4月に日経ホールで開催するのは、名作ヴァイオリン・ソナタを並べる本格的なリサイタル。モーツァルトの変化に富んだ名品、ソナタ第34番K.378。シューベルトの温かい旋律美を味わえる本格的なソナタ(グラン・デュオ)D574。そして、ヴァイオリン作品の最高傑作のひとつ、フランクのソナタ。ベルキンのような名匠でこそ体験したいプログラムだ。ピアノはソロ活動に加えてアンサンブル経験も豊富な名人、野田清隆。ピアノパートの難曲でもあるフランクでの名技に留まらず、最高のサポートでベルキンの至芸を支える。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年4月号より)
2024.4/26(金)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://stage.exhn.jp