LFJの最終日に主催者の東京国際フォーラムはプレス懇談会を開き、LFJアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏らが出席した。以下は出席者のコメント。
◎株式会社東京国際フォーラム代表取締役社長 末松建樹氏
「4月に入ってから、館内の施設に地震の影響による損傷が発見され、約5000人収容のホールAなどの使用が不可能になってしまいました。また、福島第一原子力発電所の事故がレベル7に引き上げられたことにより、多くのアーティストが来日に強い懸念を示しました。そのような状況で一度、中止も考えたのですが、ありがたいことにさまざまな方面から『ぜひ開催を』という意見をいただきました。そして規模を縮小しての開催を決断しました。本来なら約170公演以上あった有料公演を約90公演に、約14万枚のチケット販売予定が、約4万5000枚ほどに減少しました。4月中旬時点で7万数千枚のチケットがすでに販売済みだったのですが、すべて払い戻しさせていただき、お客様には再度新しいプログラムのチケットをご購入いただきました。新プログラムの発表が音楽祭開催のわずか10日前だったにもかかわらず、有料公演はほぼ完売になりました。チケットをご購入いただいたお客様には本当に感謝をしたいと思います」
◎LFJアーティスティック・ディレクター、ルネ・マルタン氏
「東京に多数のアーティストと共に来ることができ、今幸せを感じています。震災の直後、私はKAJIMOTO社長の梶本氏に『私は何があっても日本に参ります』と電話で伝えました。世界中のマスコミが原発事故のショッキングな映像や写真を報道し続けたため、多数のアーティストが来日をキャンセルしたいと申し出ました。事故の深刻度がレベル7に引き上げられ、さらに来日をためらうアーティストが増加しました。そのため、毎日のようにプログラムの変更をしなければなりませんでした。その際に日本で行う各LFJのテーマをできるだけ変えないように心掛けました。特に、来日の意思をいち早く表明してくれたウラル・フィルハーモニー管弦楽団の皆様に感謝したいと思います。60人もの団員の方々が来日してくれました。それに今回は日本の演奏者が加わりさらに大きなオーケストラを組織し、“LFJスペシャル・オーケストラ”といった形態でも演奏に臨んだのです。シンフォニア・ヴァルソヴィアにも感謝したいと思います。彼らは当初東京で演奏する予定でしたが、来日できなかったヴュルテンブルク管弦楽団の代わりにびわ湖や鳥栖のLFJに出演してくれているのです。フランク・ブラレイ(ピアノ)は、当初出演予定ではありませんでしたが、『いつでも力になります』と来日してくれたアーティストの1人です。たくさんのアーティストの協力によって『タイタンたち』というテーマを変更せずに東京でのLFJが開催できました。このような非常に厳しい時だからこそ、音楽が精神的な支えになるものだと強く感じています」
◎LFJアーティスティック・プロデューサー 梶本眞秀氏 (KAJIMOTO 代表取締役社長)
「震災のため、アーティスト達は難しい決断を迫られました。小さいお子さんをお持ちの方や、妊娠中のアーティストもいました。このような困難な状況の中でたくさんのアーティストが来日してくれたことに感謝いたします。東京国際フォーラムの方々は、特に安全面に関して難しい決断を下さなければならなかったと思います。びわ湖と金沢のLFJを見てきましたが、ともに大変な盛り上がりでした。音楽の力というものが日本中で発揮され、人々を勇気づけているのだと感じました」