1月26日、神戸市室内管弦楽団・混声合唱団の2024年度プログラム発表記者会見が行われ、各団体の音楽監督を務める鈴木秀美と佐藤正浩が出席した。
次年度の注目は、両団が本拠地とする神戸文化ホールの開館50周年記念事業として上演されるヴェルディのオペラ《ファルスタッフ》(12/21 全3幕、イタリア語上演・日本語字幕付き)。
演出は神戸出身の岩田達宗、指揮は佐藤が務める。管弦楽は神戸市室内管。キャストはタイトルロールに黒田博、フェントン役に小堀勇介をゲストとして招く以外、そのほとんどを混声合唱団のメンバー、およびOB・OGが担う。
佐藤は、「アニバーサリーですので、悲劇的ではなく笑って終われる内容にしたいと思い、ヴェルディの喜劇作品《ファルスタッフ》を選びました。演奏会形式での上演も考えましたが、舞台を付けた本格的なステージにチャレンジします」と意気込みを語った。
21年から鈴木が音楽監督を務める神戸市室内管は、18年に管楽器のメンバーが加わり現在の名称に改名。近年はバルブのない「ナチュラル」ホルン、トランペットを導入し、弦楽器奏者も各自が自発的にガット弦やバロック弓を取り入れているという。鈴木はシーズンブックに「様々な道具が混ざった状態は歴史的にもあったことですし、社会そのものにも似ています。オーケストラは軍隊のようなユニフォームが目的ではありませんし、これからも少しずつ変化していくでしょう」とメッセージを寄せている。
同楽団の定期演奏会は神戸文化ホールで5公演を開催する。そのうち鈴木は全3回に登壇。目を引くのはサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番のソリストにジャン=ギアン・ケラスを招く第165回(11/23)。
「サン=サーンスの協奏曲は、私が学生の頃は著名な奏者がよく弾いていましたが、今では実演を聴ける機会が少ない作品です。国際的に活躍する名チェリストによる演奏は貴重。ぜひ楽しんでいただきたいです。彼にはこの曲のほかに、フォーレのエレジー(オーケストラ伴奏版)も弾いてもらう予定です」
客演では、コーミッシェ・オーパー・ベルリンの第一カペルマイスターを務める八嶋恵利奈(9/14)、サー・コリン・デイヴィスを父に持つイギリスのマエストロ、ジョセフ・ウォルフも登場(25.3/15)。
その他、神戸市内の音楽ホールで行う休憩なしの1時間のコンサート「セレクションシリーズ」全2回が予定されている。
神戸市混声合唱団は2回の定期演奏会を実施。9月は佐藤の指揮で、合唱音楽の第一人者・松下耕への委嘱作品「混声合唱、室内オーケストラ、ピアノのための『レクイエム』」の世界初演(24.9/28)、25年3月はびわ湖ホール芸術監督の阪哲朗の指揮でメンデルスゾーン、シューマンが軸になる(25.3/29)。
佐藤によると、同合唱団から作曲家に作品を委嘱するのは今回が初めてだという。
「22年、松下さんの指揮で彼の作品を特集したことがきっかけとなり、今回の委嘱に至りました。24年度は震災から30年を迎えるということもあり、レクイエムを書いていただきます」
他にも、NHK全国学校音楽コンクール、全日本合唱コンクールの課題曲を取り上げる「合唱コンクール課題曲コンサート」(24.5/11)、阪神・淡路大震災からちょうど30年の25年1月17日に開催する「メモリアルコンサート」なども予定されている。
神戸市民文化振興財団
https://www.kobe-ensou.jp