Music Program TOKYO シャイニング・シリーズ Vol.13 東京文化会館チェンバーオーケストラ

コンクールに名を残した腕利きたちが音楽の殿堂に集結!

左:野平一郎 ©Yoko Shimazaki
右:東京文化会館チェンバーオーケストラ ©堀田力丸

 2003年から東京文化会館で開催されてきた東京音楽コンクールは、数多くの才能ある若手を発掘してきたことで知られている。同コンクールは、入賞者たちに演奏機会を提供し、彼らの成長を見守っていく点でもユニークだ。東京文化会館チェンバーオーケストラは、そういった趣旨のもと、同コンクール入賞者を中心に編成されたアンサンブルである。コンサートマスターの依田真宣も第4回の入賞者。1月14日開催のシャイニングシリーズVol.13は、21年より同館音楽監督をつとめる野平一郎が指揮を担当、コンクールで巣立った若手たちの「今」を堪能できる。

 プログラムはいずれもソリストの入る曲で、ソロは全員コンクール入賞者がつとめる。モーツァルトの名作、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲では、前田妃奈と田原綾子というコンクール優勝者が出演。現在躍進中のふたりだけにとても楽しみだ。野平のユニークな作品「静岡トリロジーII 『終わりなき旅』」がとりあげられるのも注目である。五人のソリスト(ヴァイオリン:篠原悠那、チェロ:加藤文枝、フルート:上野由恵、クラリネット:イシュトヴァーン・コハーン、ホルン:濵地宗)が織りなす壮麗な響きは、風光明媚な静岡の歴史と文化へのオマージュにもなっている。最後に演奏されるのは、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「プルチネッラ」。ソプラノの澤江衣里とテノールの村上敏明、そしてバリトンの井出壮志朗ら、声楽界を牽引しつつある歌手たちが顔をそろえるが、全員東京音楽コンクールが見いだした逸材である。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2024年1月号より)

2024.1/14(日)15:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
https://www.t-bunka.jp