新年の幕開けには王道の名曲がふさわしい
今年6月から改修のために休館していた東京文化会館が12月にいよいよ再開。明けて2015年は、毎年1月3日恒例のニューイヤーコンサートで始まる。指揮は同ホール音楽監督・小林研一郎。2012年の就任以来、この立場でホームグラウンドの指揮台に立つのは初めてだという。管弦楽は東京都交響楽団。
ニューイヤーといえばウィンナ・ワルツが何となく相場。それはそれで楽しいけれど、ここでは毎年、王道のクラシック名曲をがっつり聴けるのがうれしい。クラシックの真髄にどっぷり浸りたいファンはもちろん、家族で楽しむクラシック入門にもうってつけだ。
ワルツ「春の声」で新年気分も味わいつつ、ヴァイオリン独奏に美しき実力派・木嶋真優を迎えての「チャルダッシュ」「タイスの瞑想曲」「ツィゴイネルワイゼン」で、超絶技巧と胸に迫る美旋律という両極でヴァイオリンの魅力を堪能する。
メインはドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。炎のマエストロの十八番の一つだが、コバケンが東京文化会館でこの曲を振るのは、なんと1985年1月以来30年ぶりだから意外。貴重な機会なのだ。さらに、1961年4月の同ホール落成式のメイン・プログラムも「新世界」だった。15年ぶりの大規模改修を経て再開したばかりの元祖クラシックの殿堂が迎える、初めての新年のお祝いに、歴史的にもふさわしい曲だ。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)
2015/1/3(土)15:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp