【CD】INFINITE VOYAGE―終わりなき航海―/エマーソン弦楽四重奏団

 1976年の結成以来、一時代を築いてきたエマーソン弦楽四重奏団が、惜しまれつつ解散。斬新な発想や解釈を高水準のパフォーマンスで実現し、最先端を走り続けてきて、いまや珍しくないヴァイオリンの交代制も、批判を受けながらも広く定着させたのは彼ら。そんな4人の最後の録音は、シェーンベルクとベルクによる無調の世界を切り拓いた大作と、ヒンデミットとショーソンの美しい佳品、しかもベルク以外はソプラノが加わるという意外な4作。最後まで開拓を続けながら、余裕すらある完熟の名演を作り上げ、盟友の名唱も借りて、“新たな航海”を宣言する。美しき有終。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年1月号より)

【information】
CD『INFINITE VOYAGE―終わりなき航海―/エマーソン弦楽四重奏団』

ヒンデミット:メランコリー/ベルク:弦楽四重奏曲 op.3/ショーソン:終わりなき歌/シェーンベルク:弦楽四重奏曲第2番

エマーソン弦楽四重奏団
【ユージン・ドラッカー フィリップ・セッツァー(以上ヴァイオリン) ローレンス・ダットン(ヴィオラ) ポール・ワトキンス(チェロ)】
バーバラ・ハンニガン(ソプラノ)
ベルトラン・シャマユ(ピアノ)

Alpha/ナクソス・ジャパン
NYCX-10442 ¥3520(税込)