仙台フィル 2024 新プロジェクト発表記者会見

ゲストコンサートマスターに小森谷巧が就任

左より:バンダイナムコピクチャーズ プロデューサー 生地俊祐、
バンダイナムコフィルムワークス常務取締役 佐々木新、
バンダイナムコミュージックライブ取締役 尾崎雅之、
常任指揮者 高関健、指揮者 太田弦、チーフインスペクター 美濃部敦

 今年創立50周年の仙台フィルハーモニー管弦楽団が11月20日、仙台市内で記者会見を行い、2024年度シーズンより、定期演奏会のほか新たに2つのシリーズを行うこと、24年4月からゲストコンサートマスターに小森谷巧が就任することを発表した。会見には常任指揮者の高関健、指揮者の太田弦らが登壇。

 新たにはじめるシリーズは、アニメーションなどの音楽に特化した「エンターテインメント定期」と、有名作曲家の世界観を紹介する「名曲トラベル」。また、それに先駆けアニメーション『クラシカロイド』(バンダイナムコピクチャーズ制作)とのコラボレーション・コンサートを来年3月に開催する。
 日本のプロオーケストラでシーズンを通してアニメーション作品を取り上げるのは初めてだという。

 「エンターテインメント定期」は『機動戦士ガンダム』『ケロロ軍曹』などで知られるバンダイナムコグループと協力し、2024年度では全3回にわたってアニメーション作品を中心に特集。スクリーンへの映像投影はなく、作品の持つ音楽の素晴らしさを発信したいという思いが込められている。曲目のラインナップは12月19日に発表予定。
 高関は「(同じく常任指揮者を務める)東京シティ・フィルではドラゴンクエストを取り上げたコンサートで好評を得ている。この企画を初めて耳にした時、正直に面白いと思った」とコメント。
 太田は「もともとオーケストラに触れあうきっかけがスター・ウォーズで、その後のSF欲を受け止めてくれたのがガンダム(ナムコ)だった」と自身にも縁のある協業であることを明かした。

 「名曲トラベル」は全4回。耳にすることの多い有名曲の魅力を解説付きでひも解く。
 第1回(24.4/10)は高関の指揮でベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と第5番「運命」を紹介。高関は「両曲が初演された1808年12月22日、アン・デア・ウィーン劇場に皆さんをお連れします。当時のエピソードを交えて楽しんでいただきつつ、本格的な演奏にも浸ってもらいたい」と意気込みを述べた。
 第3回(12/18)は太田の指揮でチャイコフスキーの三大バレエ組曲「眠れる森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」を披露。「踊りがないと成立しない音楽ではなく、音楽だけでも素晴らしい作品です」。
 第2回(6/26)は小森谷がモールァルト作品でソリスト、コンサートマスター、指揮の三役を務める。第4回は楽団員を中心とした室内楽でシューベルトを特集する。

 仙台フィル特別演奏会「クラシカロイド」(24.3/20)は、上記2つのシリーズの第0回とした位置づけ。同名のアニメーションは「ベートーヴェンやモーツァルト、ショパンやリストが現代に存在したら」をテーマとしたオリジナル作品。2018年までNHK Eテレで放送され、クラシックの名曲を布袋寅泰や蔦谷好位置らが現代風にアレンジした音楽と、作曲家をキャラクター化したアニメーションで話題となった。コンサートでは映像演出はせず、高関健が指揮をとる。

小森谷巧

 新たにゲストコンサートマスターに就く小森谷は、2023年まで20年以上にわたり読響のコンサートマスターを務め、現在は愛知室内オーケストラのソロ・コンサートマスター兼アーティスティック・パートナーとしても活躍している。今回の会見に向け以下のメッセージを寄せた。
「約20年前から仙台フィルには幾度となく客演しており、音楽的相性の良さを感じていました。お客様、楽団員やスタッフの温かさを知っているので、こうして関われることをとても楽しみにしています。これまでの経験を活かし、仙台フィルの発展の力となれるよう頑張ります」

 会見では新シーズンの定期演奏会についても言及。これまでと同様に日立システムズホール仙台 コンサートホールを会場とし、全9回18公演を開催。
 高関は、来年生誕200年のブルックナー、スメタナを取り上げるほか、2022年のヴァン・クライバーン国際コンクール優勝のイム・ユンチャン、21年のショパン・コンクール覇者ブルース・リウの両ピアニスト、仙台国際音楽コンクールヴァイオリン部門の審査委員長でもある堀米ゆず子と共演するなど全4回でタクトを執る。
 太田はN響ゲスト・コンサートマスターの郷古廉と共演するなど2回登場する。
 客演では、仙台国際コンクールでも指揮する広上淳一、宮城フィル(仙台フィルの前身)時代の首席客演指揮者でもある小林研一郎といった仙台ゆかりのマエストロが登壇するほか、準・メルクルの初登場も予定されている。

 2024年度シーズンは楽団ロゴも一新。さらに、クラシック音楽を身近に感じてもらうため、バンダイナムコピクチャーズのプロデュースで演奏家のキャラクター化も開始。第一弾として高関、太田、両マエストロのキャラクターが公開された。

たかせきくんとおおたくん(c)BNP

 独自の取り組みを進める51年目の仙台フィルから目が離せない。

写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団

仙台フィルハーモニー管弦楽団
https://www.sendaiphil.jp