大躍進の若手カルテット、直球勝負のプログラムとともに凱旋!
若手奏者による優れた弦楽四重奏団体が数多く生まれる中、頭角を現してきたのが「ほのカルテット」。結成は4人が東京藝術大学在学中の2018年で、間もなく国内各地のコンクールで結果を出し、現在はサントリーホール室内楽アカデミー第7期フェローとして、さらなる研鑽を積んでいる。今年5月には、大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門で、日本人団体として過去最高の第2位およびアンバサダー賞を受賞し、内外の大きな注目を集めている。
メンバー各々の活躍ぶりも際立つ。第1ヴァイオリンの岸本萌乃加は、東京音楽コンクール第1位の俊才で、現在読響次席第1ヴァイオリン奏者。第2ヴァイオリン林周雅は、テレビ番組『題名のない音楽会』中のプロジェクト「題名プロ塾」からプロデビューし、ジャンルを超えた活動を展開中。ヴィオラ長田健志は、反田恭平の率いるジャパン・ナショナル・オーケストラに所属。チェロ蟹江慶行は東響に所属し、同楽団インスペクターという要職も務める。そんな多才な4人がカルテット活動はしっかり継続して、音楽を深めてきた。
そして、12月に開催されるのが、大阪での受賞を記念する「サントリーホール室内楽アカデミー特別公演」である。演目はハイドンの楽しい快作「冗談」、メンデルスゾーンの旋律美と情熱を味わえる4番、コンクールファイナルでも演奏したベートーヴェン後期の12番という、逃げも隠れもできない古典的名品で勝負。飛躍のときを迎えた「ほのカルテット」の実力、とくと味わいたい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年11月号より)
2023.12/19(火)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
suntoryhall.pia.jp