紫園香は、東京藝術大学附属高校、同大学、同大学院をすべて首席で卒業したフルーティスト。20世紀最高の演奏家であり指導者と評されるマルセル・モイーズの薫陶も受け、多彩な演奏活動を展開。バッハの作品は彼女にとって特に重要なレパートリーで、今回のディスクには紫園の精緻な技術、美しい音色の魅力が詰まっている。チェンバロの藤井一興をはじめとする信頼厚い共演者と奏でられるバッハは一つひとつの楽想が丁寧に浮かび上がり、それぞれの構造や表情を楽しめるものとなっている。特に印象的なのがあたたかな響きで、やさしく寄り添うようなバッハに心が満たされていく。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年11月号より)
【information】
CD『J.S.バッハからの贈りもの 〜紫園香オールバッハ作品集〜』
J.S.バッハ:フルートソナタ ロ短調 BWV
1030、同ホ長調 BWV1035、同ホ短調 BWV1034、ソナタ ホ短調 BWV526(W.&G.キルヒナー編)、トリオソナタ ト長調 BWV1038
紫園香(フルート)
藤井一興(ハープシコード)
沼田園子(ヴァイオリン)
北本秀樹(チェロ)
ナミ・レコード
WWCC-7989 ¥2750(税込)