【CD】ウェイブス〜フランス作品集/ブルース・リウ

 2021年のショパン国際コンクールの覇者ブルース・リウによる初のスタジオ録音フル・アルバム。今作で彼が向き合ったのは自身の生地フランスの鍵盤音楽だ。バロック、ロマン派、20世紀に書かれた、ラモー、アルカン、ラヴェルの作品集という魅力的な内容。安定した超絶技巧を誇るリウが奏でるラモーの「ガヴォットと6つのドゥーブル」は実に愛らしく、なおかつリズムのドライヴ感も最高。アルカンの〈舟歌〉は恐ろしいほどデリケートな音色でたゆたい、ラヴェルの組曲「鏡」は幻想的で冷たく美しい響きで雄弁に語る。ピアノからあらん限りの音色を引き出した珠玉の一枚。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2023年11月号より)

【information】
CD『ウェイブス〜フランス作品集/ブルース・リウ』

ラモー:「新クラヴサン組曲集」より〈ガヴォットと6つのドゥーブル〉〈未開人たち〉、「クラヴサン曲集」より〈優しい嘆き〉/アルカン:「歌曲集 第3集」より〈舟歌〉/ラヴェル:組曲「鏡」 他

ブルース・リウ(ピアノ)

ユニバーサル ミュージック
UCCG-45085 ¥3080(税込)