【CD】パリからの声〜フォーレ、プーランク、イザイ/ヤメン・サーディ&ナタリア・ミルシテイン

 イスラエル出身の新鋭、ヤメン・サーディのデビュー盤。早熟な少年時代からの活躍を経て、わずか25歳にしてウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターに就任という輝かしいキャリアを誇る。神童としてデビューした演奏家としては意外であるが、サーディのヴァイオリンはヴィルトゥオーゾ的というよりは室内楽的で極めて端正、ミルシテインのピアノも響きや音量は適度に抑制しながらヴァイオリンと対等な音楽を展開する。とりわけ印象的なのはプーランクのヴァイオリン・ソナタであろう。繊細なアタックと多彩な音色を駆使してこの多面的な作品の魅力を十分に引き出している。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2023年10月号より)

【information】
CD『パリからの声〜フォーレ、プーランク、イザイ/ヤメン・サーディ&ナタリア・ミルシテイン』

プーランク:声楽とピアノのための歌曲集「くじ」より〈心の女王〉(ヴァイオリンとピアノのための編曲版)、ヴァイオリン・ソナタ/イザイ:子供の夢、悲劇的な詩(以上ヴァイオリンとピアノのための編曲版)/フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 他

ヤメン・サーディ(ヴァイオリン)
ナタリア・ミルシテイン(ピアノ)

dreyer gaido/東京エムプラス
XDGCD 21130 ¥3300(税込)