バスーン奏者・中川良平が蓼科の山荘で、弟子たちと長年夏合宿のような交流を続け、生まれたバスーン四重奏が蓼科カルテットだ。音楽監督の中川の編曲作品をレパートリーとし、海外でも高評価を得て、3枚組のCDも出した。これはその続編。今回は四重奏だけでなく、ピアニスト植松さやかが加わっての三重奏、五重奏もある。中核メンバーの小川慧巳と野村和代とのトリオによるバッハ編曲は、素晴らしい。特に無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番は秀逸。中でもシャコンヌは、傑作に相応しい濃い味わいで、感銘深い。ガンバ・ソナタからも内省の声が聴こえ、生命力が躍動する。名曲集もいい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年10月号より)
【information】
CD『蓼科Quartet(4Bns.)―2020/蓼科カルテット』
J.S.バッハ:パルティータ第2番、ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第1番〜第3番/コレット:フェニックス―4つのバス楽器のための協奏曲/シューベルト:アルペジオーネとピアノのためのソナタ、アヴェ・マリア D839 他
蓼科カルテット
【小川慧巳 島岡幾代/北川陽子 野村和代 竹内文香(以上バスーン)】
中川良平(音楽監督/編曲)
植松さやか(ピアノ/キーボード) 他
コジマ録音
ALCD-9249〜51(3枚組) ¥4840(税込)