シン・ヒョンス(ヴァイオリン)

高い音楽性とメンタルの強さ


 韓国期待の若手ヴァイオリニスト、シン・ヒョンス。2008年のロン・ティボー国際コンクールにおける韓国人初優勝をはじめ、パガニーニ、チャイコフスキーなど多くの難関で優勝や入賞を重ねてきた。さらに12年には、エリーザベト王妃国際コンクールで第3位に入賞し、その安定した実績は、高い音楽性とメンタルの強さの賜物と言えるだろう。
 ここ数年、日本で積極的な演奏活動を展開しているヒョンスが、この11月に東京と京都でリサイタルを行う。共演はエリーザベト王妃国際でも彼女をサポートした俊才ピアニストの佐藤卓史。先日彼女にインタビューした際、「佐藤さんはお互いの長所を引き出して高め合える最高のパートナー。日本のホールはどこも音響が素晴らしく、聴き手の反応も温かいので、演奏できることをいつも嬉しく思っています。今後は日韓の架け橋になれるような活動をもっと増やせたらいいですね」と語っていたので、親密で洗練された掛け合いが期待できそうだ。
 注目のプログラムは、前半がシューベルトのソナタ&ロンド、後半がラヴェルのソナタ&サラサーテ「カルメン幻想曲」という中身の濃い4曲。後半のラテンものは、ロン=ティボー国際以来の彼女の得意曲だが、この6年間で重ねたさらなる充実やいかに。前半のシューベルトでも、演奏に必要とされる高い技巧、「歌曲王」ならではの純度の高い歌い回し、張り詰めた緊張感といった諸要素を、どのように組み立てるかに注目だ。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)

11/29(土)14:00 かつしかシンフォニーヒルズ
問:かつしかシンフォニーヒルズ03-5670-2233
11/30(日)15:00 青山音楽記念館バロックザール
問:青山音楽記念館075-393-0011