公演レポート ボリショイ・バレエ『ラ・バヤデール』

グリゴローヴィチ再改定の自信作

©Damir Yusupov
©Damir Yusupov
 今年の5月にモスクワのボリショイ劇場で行われた『ラ・バヤデール』を鑑賞した。2013年にプレミアが行われたグリゴローヴィチによる再改定版は、マイム部分が削られ、舞踊場面を増やした画期的なバージョン。
 5月8日にニキヤを踊ったのはアンナ・ニクーリナ。ドラマティックな表現力で芯の強いヒロインを演じ、ガムザッティに刃を向けるシーンでは強烈な印象を残すなど、可憐で線の細いプリマの印象が強かったニクーリナが、新たな境地に達していることを思わせた。ミハイル・ロブーヒンのソロルは男性的で、包容力が感じられるサポート。
 続く5月9日は、若手オリガ・スミルノワのニキヤにセミョーン・チュージンのソロル。昨年この『ラ・バヤデール』でブノワ賞を受賞しているだけあってスミルノワの踊りは正確でポジションも美しく妖艶そのもの。冒頭の一幕こそ少し硬さが目立ったが、次第に調子を上げ、ラスト近くで見せる超絶技巧のピルエットの連続に会場は大いに沸いた。チュージンは大柄な身体をうまく使って、優雅で気品あるソロルを演じた。奴隷たちによるインディアン風の群舞、ブロンズ・アイドルの跳躍も勇壮さに溢れ、ボリショイ自信のプロダクションであることが伝わってくる。コール・ドの技術の高さもボリショイの誇りを感じさせる圧巻の舞台だった。
 彼らが出演する11月からの来日公演を楽しみにしたい。
文:小田島久恵
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年9月号から)

『白鳥の湖』11/26(水)13:00/19:00 Bunkamuraオーチャードホール
      ※11/20(木)、24(月・休)公演は完売
『ラ・バヤデール』12/3(水)18:30、12/4(木)12:00/18:30 東京文化会館
『ドン・キホーテ』12/6(土)12:30/18:30、12/7(日)14:00 東京文化会館
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 
http://www.japanarts.co.jp/bolshoi2014

*キャスト変更のお知らせ*
『白鳥の湖』(11月26日13:00東京/11月30日17:00浜松 オデット&オディール役)、『ラ・バヤデール』(12月4日18:30 ニキヤ役)に出演を予定していたオリガ・スミルノワは、怪我のためボリショイ・バレエ日本公演に出演しません。詳細は上記HPをご参照ください