東京フィルハーモニー交響楽団 渋谷の午後のコンサート 秋の大感謝祭

指揮者が3人登場!? 祝祭の名曲に思いを馳せる秋の午後

 東京フィル「午後のコンサート」は、午後のひととき、指揮者のトークをまじえて、名曲を名演奏家で楽しむことができる好評のシリーズ。週末・祝日にBunkamura オーチャードホールで開催される「渋谷の午後のコンサート」のうち、「秋の大感謝祭」と銘打たれた9月の公演はなかなか独特。この日の「指揮とお話」はセントラル愛知響常任指揮者の角田鋼亮、「ゲスト(ピアノ)」は園田隆一郎と三ツ橋敬子。ゲストのふたりも第一線で活躍中の指揮者だが、この日はピアノだけの出演という贅沢さ。実は角田と園田は中学・高校、角田と三ツ橋は大学での縁があるとのことで、人気指揮者3人が共演者として並び立つステージが実現した。弾く曲はサン=サーンス「動物の謝肉祭」の2台ピアノ。中でもふたりの息が“全然合わない”曲「ピアニスト」を指揮者たちがどう奏でるのか注目。

 他の曲目は、ベルリオーズ「ローマの謝肉祭」、レスピーギ「ローマの祭」、外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」。イタリアと日本の「祭」をテーマとする、華麗な名曲が並ぶ。「ローマ」の2名作の絢爛な響きと熱気を、いま好調の角田と東京フィルが鮮烈に奏でる。そしてプログラム最後は、この7月に亡くなった外山雄三の代表作。誰もがよく知る日本の旋律が、西洋のオーケストレーションで完璧に構築された、理屈抜きで楽しめる傑作で、世界中で最も演奏されてきた日本の管弦楽作品かもしれない。問答無用に熱くなること請け合いの本作で、外山が込めた音楽への思いを楽しく噛みしめたい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年9月号より)

2023.9/18(月・祝)14:00 Bunkamura オーチャードホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522
https://www.tpo.or.jp