【CD】ヴィオラ・アマービレ/清水直子&オズガー・アイディン

 ベルリン・フィル首席ヴィオラ奏者の清水直子と、名ピアニストのオズガー・アイディンによる2010年ライブ録音集。バッハ、ブラームスから20世紀に連なる4作品が並び、作曲技法や表現法は全く異なるが、「アマービレ」の感覚がたしかに通底しているのが興味深い。ヴィオラが少し遠い録音だが、ブラームスはピアノの温かい和声に乗ったヴィオラの歌として味わい直せる。エネルギーと妖しさが一気に増すヒンデミットは、安定の技巧から激しい熱気まで秀逸。近年再評価が進むクラークの名ソナタでは、あらゆる感情が内包される多彩な音楽が、両者の名技で感動的に構築される。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年9月号より)

【information】
CD『ヴィオラ・アマービレ/清水直子&オズガー・アイディン』

J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ ト短調/ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第2番/ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタop.25-4/クラーク:ヴィオラ・ソナタ

清水直子(ヴィオラ)
オズガー・アイディン(ピアノ)

収録:2010年8月、杜のホールはしもと&フィリアホール(ライブ)
マイスター・ミュージック
MM-4520 ¥3300(税込)