新鮮な驚きに満ちた2人の“B”
2年前、EMIクラシックスからベートーヴェンのピアノソナタ全曲録音でデビューしたHJリム。今を生きる感性で読み解いた、自由で情感豊かな演奏は、当時音楽ファンに強いインパクトを与えた。今回の来日では、ベートーヴェンの4大ピアノソナタ、そしてバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻という2つのプログラム『B×B』を披露する。
12歳で単身フランスに留学し、若くして自立した生活を送ってきた彼女の音楽は、強く、エネルギーに満ちている。新たなレパートリーに取り組むときにはさまざまな資料を徹底的に調べるタイプ。そうして生まれる解釈が聴く者に新鮮な驚きを与えるわけだが、彼女自身は「新しいことをしようという意識はない。音楽から読み取ったことを正直に伝えたいと思ってベストを尽くした結果」だと言う。その感性で挑むバッハはどんなものになるのか、そして録音時から少しだけ歳を重ねた彼女が奏でるベートーヴェンにはどんな変化が現れているのか。聴きどころの多い公演だ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)
BⅠ 疾風怒濤のベートーヴェン〜4大ピアノ・ソナタ
11/22(土)14:00 第一生命ホール
BⅡ 新たなる伝説の始まり〜バッハ 平均律クラヴィーア曲集第1巻
12/12(金)19:00 ヤマハホール
問:ART∞LINKS 050-3681-1068
http://www.artlinx.jp