偉大な音楽家の想い出に捧ぐ
今年3月末に71歳で亡くなった“教授”こと坂本龍一。45年以上にわたって第一線で幅広い活動を展開し、あらゆるカルチャーに影響を与えていたその大きすぎる“存在”の抜けた穴は埋めようがないが、遺された音楽は永遠。8月には“教授”からインスピレーションを得た3人が彼の作品を東京オペラシティの大舞台で演奏する、注目のアフタヌーン・コンサートが開催される。
中心となるのはピアニストの中野翔太とヴァイオリニストの成田達輝。二人は2022年9月、坂本が藝大時代に19歳で書いたヴァイオリン・ソナタを一緒に録音した(本人の目の前で!)黄金コンビ。ジュリアード音楽院に留学していた頃“教授”の音楽を拠り所にしていたという中野はレコーディングの日を「一生忘れません」と語り、成田の方もこれをきっかけに自身の音楽ユニットを「mumyo」と命名してもらうなど、生前の坂本とかけがえのない時間を共有している。
また、特別ゲストとして参加する箏アーティストのLEOも“教授”から強い影響を受けているアーティストのひとり。最新アルバム『GRID//OFF』でも坂本の「Andata」のカヴァーをとりあげている彼が、そもそも日本の伝統楽器である箏にエフェクターを挟んでエレクトロニックな音作りを追求するようになった発想の背景には、やはり坂本の音楽があったという。そんな3人によって奏でられる、珠玉の映画音楽やアンビエント・ミュージックの数々を聴き逃すわけにはいかない!
文:東端哲也
(ぶらあぼ2023年8月号より)
2023.8/29(火)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
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