木村善明バスバリトン・リサイタル 歌物語への誘い Ⅱ〜H.ヴォルフ & C.レーヴェのバラード作品〜

若き名手が織りなす知られざるバラードの魅力

(c)Olliver von Salzen

 独ビーレフェルト歌劇場の専属として活躍中のバスバリトン木村善明は、岡山県が生んだオペラ界期待の星。濃色の美声をもとに得意のドイツ語で切れ味鋭く歌いあげ、生の台詞の多い役—例えば、モーツァルト《後宮からの逃走》の番人オスミン—でも大成功している。そんな木村はリートの分野でも日本が誇る歌い手の一人。東京藝大大学院修了時にはレーヴェのバラードの研究で博士号も得た。昨年の帰国の折も、五線譜下のホ音という超低音をさらっと歌い上げ、高音域も清らかにこなすさまに圧倒された。

 その木村がこの夏再び、歌曲伴奏の第一人者・子安ゆかりのピアノとともに得意のバラードに拠る演奏会を岡山と東京で開く。レーヴェ〈小人たち〉では職人仕事を手伝う妖精たちの働きぶりが軽妙に歌われるだろうし、ヴォルフ〈コウノトリの知らせ〉でも滑らかな節回しが楽しめそう。子安曰く、「斬り込み隊長のように情熱的」でもある木村の芸術性をお楽しみに。
文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2023年8月号より)

※8/5のトッパンホール公演は、出演者の体調不良により、公演中止となりました。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(8/3主催者発表)

2023.8/5(土)14:00 トッパンホール
問:ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ03-3787-5106 
https://y-m-a.com

他公演
2023.7/26(水) 岡山/ルネスホール(ギフトミュージックカンパニー:木村080-1933-4844)