巨匠が紡ぐ円熟のシューベルト
ウィーンのピアノ音楽の伝統を、今もっとも熟成した音色で聴かせてくれる巨匠イェルク・デームスが、今年も来日公演を行う。
11月19日は、現在ソロ・コンサートや宗教音楽の分野で活躍中のソプラノの阿久津麻美との演奏会。阿久津は2010年夏にザルツブルクで開かれたデームスのリサイタルで共演しており、「自然な音楽的才能」を認められている。バッハのアリア、ドビュッシーやヴォルフの歌曲、さらには山田耕筰やデームス自身の歌曲を含む多様性に富んだプログラムが楽しみだ。
25日のソロ・リサイタルは、オール・シューベルト・プログラム。「ロザムンデ変奏曲」としても知られる「4つの即興曲」D935第3番、シューベルトの最晩年に書かれた最後の番号を持つソナタD960、楽興の時第1~3番や、D899の「4つの即興曲」など、シューベルトのピアノ作品の中でも広く愛される名曲が並ぶ。デームスは今年で86歳。彼の生み出す芸術の煌めきに出会いたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)
阿久津麻美&イェルク・デームス 11/19(水)19:00
ソロ・リサイタル 11/25(火)19:00
Hakuju Hall
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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