ボンクリ・フェス2023 “Born Creative” Festival 2023

劇場全体が「新しい音楽」との出会いで満ちる2日間

 子どもの頃は、誰もが「変な音」を面白がって、好きだったはず!……作曲教室での実体験を通じて得た確信をもとに、時代の寵児である藤倉大が2017年から東京芸術劇場と開催している音楽祭が、ボンクリ(“Born Creative” Festival)だ。クラシックで変な音といえば現代音楽。難解で高尚なものだと思われがちだが、先に述べたように藤倉はそう考えていない。理解しなきゃいけないという強迫観念にとらわれることなく、童心に戻って面白がったり驚けばいい。そんな体験ができる有料・無料のコンサート、参加型のワークショップが、バラエティ豊かに揃っている。

 まず推したいのはアンサンブル・ノマドと、藤倉が信頼する国内外の一流音楽家たちが共演するスペシャル・コンサート。【sideA】は映像と音楽のコラボレーションで、ギリシャの作曲家が自ら撮影した日常風景に音楽を付けた作品、中国系米国人の女性作曲家が極度のスローモーション映像に音楽を付けた作品、そして藤倉が触発された海洋学者の写真とともに彼の尺八協奏曲(アンサンブル版)が演奏される。【sideB】は家電のリモコンを楽器にした作品や、ユース・オケのための作品が日本初演され、ライヒと大友良英の新作が世界初演される! 

 「アンサンブル・ノマドの部屋」も面白そうだが、はからずも追悼企画となった坂本龍一の電子音楽「PLANKTON」にも要注目。サウンド・プログラミングを担当した濱哲史によって、新たに再演される。他にも面白企画多数、ウェブサイトをチェックだ!
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2023年6月号より)

2023.7/7(金)、7/8(土) 東京芸術劇場
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 
https://www.borncreativefestival.com
※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。