大阪国際室内楽コンクール&フェスタ2023 入賞団体が決定!

 5月12日から18日まで、「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ2023」が大阪の住友生命いずみホールを中心に開催された。
・第1部門で弦楽四重奏、第2部門でピアノ三重奏/四重奏を審査対象とする「コンクール」(審査委員長:堤剛)
・年齢制限や課題曲がなく、6人以内であれば楽器の種類や組み合わせも自由な「フェスタ」(審査員長:呉信一)
の2つから構成される今大会。国内外の第一線で活躍する奏者たちで構成される審査委員のジャッジ、そして「フェスタ」では公募で選ばれた一般審査員の投票も加わり審査が行われ、18日、全部門の入賞団体が以下の通り決定した。

■コンクール・第1部門(弦楽四重奏)
第1位 クァルテット・インダコ(イタリア)
第2位 ほのカルテット(日本)
第3位 テラ弦楽四重奏団(アメリカ)
■コンクール・第2部門(ピアノ三重奏/四重奏)
第1位 カピバラ・ピアノ・クァルテット(ドイツ)
第2位 トリオ・パントゥム(フランス)
第3位 トリオ・ミケランジェリ(ドイツ)
■フェスタ
メニューイン金賞 テンゲル・アヤルグー(モンゴル)
銀賞 クインテット・ル・バトー・イーヴル(フランス)
銅賞 スタス&タチアナ(アメリカ)

本選でのクァルテット・インダコ
写真提供:日本室内楽振興財団

 「コンクール」・第1部門の第1位に輝いたのは、イタリアのクァルテット・インダコ。2007年にフィエーゾレ音楽院在学中に結成され、これまでにもマンハッタン国際音楽コンクールゴールドメダルなど、数々の国際的な賞を受賞している。本選ではシューベルトの第15番を取り上げ、晦渋な大作を抜群の安定感で演奏しきった。第2位は、第1ヴァイオリンの岸本萌乃加の名を冠したほのカルテット。岸本、林周雅(第2ヴァイオリン)、長田健志(ヴィオラ)、そして蟹江慶行(チェロ)が東京藝術大学在学中に結成し、始動わずか半年で第4回宗次ホール弦楽四重奏コンクールで第3位およびハイドン賞を受賞した、若手日本人クァルテットのホープだ。日本を拠点とする団体では唯一本選出場を果たし、ベートーヴェンの第12番でエネルギッシュな快演を披露した。

本選でのほのカルテット
写真提供:日本室内楽振興財団

 「コンクール」・第2部門優勝のカピバラ・ピアノ・クァルテットは、ドイツを拠点に活動するピアノ四重奏団。21年の小澤国際室内楽アカデミーで岡田脩一(ヴァイオリン)、近衞剛大(ヴィオラ)、ミンジ・キム(チェロ)が出会い、その後ピアニストのマリオ・へリングを迎え結成された。各人がARDミュンヘン国際、ジュネーヴ国際など名だたる音楽コンクールの入賞経験をもつ名手揃いで、本選ではブラームスの第3番を披露。ピアノ四重奏曲の最高傑作の一つともいえる同曲を、卓越したテクニックと堅牢な音楽づくりで見事に仕上げた。

本選でのカピバラ・ピアノ・クァルテット
写真提供:日本室内楽振興財団

 「フェスタ」の最高位・メニューイン金賞を受賞したテンゲル・アヤルグーは、全員が馬頭琴などのモンゴルの民族楽器を奏する五重奏団。ファイナルラウンドでは自国の作曲家の作品からモーツァルトの「トルコ行進曲」までバラエティに富んだプログラムを披露し、キレのあるアンサンブルで聴衆を魅了。弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ハープ)とフルートのクインテット(クインテット・ル・バトー・イーヴル)、バヤンとダルシマーのデュオ(スタス&タチアナ)と、いずれも耳目を惹く編成の団体が残った中、見事最高位に輝いた。

ファイナルラウンドでのテンゲル・アヤルグー
写真提供:日本室内楽振興財団

 「コンクール&フェスタ」の演奏は、すべてYouTube上でライブ配信されており、アーカイブも視聴できる。また、入賞団体披露演奏会も行われ、19日には主会場・住友生命いずみホールにて「コンクール」と「フェスタ」の受賞団体、そして21日には東京・サントリーホール ブルーローズにて「コンクール」の優勝団体がステージに立つ。世界に羽ばたく音楽家たちのフレッシュな演奏をいち早く聴く絶好のチャンスだ。

【Information】
大阪国際室内楽コンクール&フェスタ2023
ライブ配信アーカイブ
https://www.youtube.com/@Osakachambermusic/streams

入賞団体披露演奏会
2023.5/19(金) 14:00 19:00 大阪/住友生命いずみホール
5/21(日)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:日本室内楽振興財団06‐6947‐2184
https://jcmf.or.jp/compefesta2023