佐渡裕(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

佐渡が7年ぶりに東京フィル定期へ登場!

 首都圏のファンは、佐渡裕が振る在京オーケストラの演奏をどれだけ聴いているだろうか? 『題名のない音楽会』等で身近に感じる彼だが、兵庫や海外での指揮が多いだけに、在京オケへの出演は案外限られている。11月の東京フィル定期は、佐渡が2つのプログラムを振る。これは今の彼をじっくりと聴く貴重な機会だ。
 「第九」や山下洋輔の協奏曲公演等で東京フィルとは以前から親密な佐渡だが、定期への登場は7年ぶり。それだけに満を持したプログラムが用意されている。ベルリン・フィル、パリ管等への客演をはじめ欧州で活躍を続ける彼は、2015年9月からウィーンの名門トーンキュンストラー管の音楽監督に就任する。今回はそれに向けた、ウィーンもの中心の演目。いわば佐渡の“新たな世界”が展開される。
 両プログラムの軸は、ブルックナー(11/12,11/13)とブラームス(11/16・完売)の交響曲第4番。19世紀ウィーンで火花を散らした両巨頭の「4番」を並べて、昔日の都に思いを馳せる趣向が興味深い。特に前者、「ロマンティック」では、表情豊かで壮麗な佐渡の持ち味が発揮された、躍動感溢れるブルックナー演奏を体感できるに違いない。また、ブルックナーの前に置かれたハイドンの交響曲第6番「朝」にも注目したい。同曲は、30歳直前のハイドンが、エステルハージ家の楽団の名手たちを生かすべく作曲したソロ満載の佳品で、チャーミングな音楽は誰もが楽しめること請け合い。モダン・オーケストラで聴く機会も稀ゆえにぜひマークしたい。
 もちろん及川浩治とのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番(11/16)にも期待だが、残念ながらすでに完売している。佐渡&東京フィルが魅せる新境地、乞うご期待!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)

 佐渡 裕 ©飯島 隆
佐渡 裕 ©飯島 隆

第854回 サントリー定期シリーズ
11/12(水)19:00 サントリーホール
第89回 東京オペラシティ定期シリーズ
11/13(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第855回 オーチャード定期演奏会
11/16(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール(完売)
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
http://www.tpo.or.jp