郡 愛子(メゾソプラノ) 39th リサイタル

思い出のあの歌、この歌

 来年デビュー40周年を迎えるメゾソプラノのベテラン郡愛子だが、まずはそれに先立って、39年(=サンキュー)の活動を支えた人々に感謝するリサイタルを開く。彼女のこれまでのキャリアを振り返り、折々のトピックに関わる曲を歌っていくという仕掛けで、コンサート全体をいわば年表のように見立てた構成だ。
 1985年、86年のジロー・オペラ賞連続受賞(原嘉寿子「すて姫の子守歌」)。87年の文化庁芸術祭賞受賞(グルック「エウリディーチェを失って」)。90年の三菱自動車ディアマンテCMの歌唱と、95年の同CM出演。98年、99年のNHKニューイヤーオペラコンサート出演(サン=サーンス「あなたの声に私の心は開く」、ヴェルディ「炎は燃えて」)。93年の映画『はるか、ノスタルジィ』(監督:大林宣彦、音楽:久石譲)の挿入歌歌唱。98年のテレビ朝日系「ニュースステーション」出演(羽田健太郎との共演)。2002年の『三大テノール・ラスト・コンサート・イン・ジャパン』出演(山田耕筰「からたちの花」)。こうして並べてみるだけでも、彼女の経験が、実に多岐にわたる豊富なものであることがわかる。
 彼女の美質が深い響きの歌声や幅広い表現力にあるのは言うまでもないけれども、人を楽しませることに、いい意味でどん欲な、エンターテイナーとしての大切なスピリットの持ち主であることが最大の魅力だろう。その魅力はこの日もきっと全開。必聴だ!
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年9月号から)

11/9(日)14:30 よみうり大手町ホール
問:グローバルアーツ03-5981-9175
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