政府による行政刷新のための「事業仕分け」により、明確な文化立国のビジョンが示されないまま、文化予算が大幅な縮減とされたことを危惧し、著名クラシック音楽家8名が集まり、音楽関係者として緊急のアピールを行うための会見が12月7日に都内で開かれた。会見には飯森範親(指揮)、尾高忠明(指揮)、高丈二(声楽)、三枝成彰(作曲)、中鉢聡(声楽)、外山雄三(指揮)、中村紘子(ピアノ)、藤岡幸夫(指揮)が出席した。会見は(社)日本オーケストラ連盟、(社)日本演奏連盟、(社)日本クラシック音楽事業協会が主催し、(社)日本芸能実演家団体協議会、(社)全国公立文化施設協会が賛同してのもの。中村氏は「芸術とは人間を育てるものであり、手間と時間がかかるものですぐに結果を得られるものではない」と、「事業仕分け」の判断基準に異を唱えた。飯森氏と藤岡氏は、主に予算削減により実行困難になる、オーケストラが学校などを訪問して演奏する「学校への芸術家派遣事業」の大切さを訴えた。会見後に前述の団体が共同で民主党へ要望書を提出した。要望書では、文化庁の予算が全国家予算のわずか0.12パーセントと、欧州やアジア諸国のそれと比べても低水準であることを挙げるとともに、文化政策を担う「文化省」の設立などを訴えている。