東京フィルハーモニー交響楽団 第96回 休日の午後のコンサート〈クラシックの車窓から〉

鉄道好きが集結! 熱き演奏とトークで旅する午後

 東京フィルの「休日の午後のコンサート」は、スタートしてから24年も続く長寿シリーズ。誰もが一度は聴いたことのある名曲の数々を、指揮者やソリストのとっておきのエピソードとともに楽しめる大人気のコンサート。今シーズンのオープニングを飾るのは、なんと鉄道音楽特集。タイトルは「世界の車窓から」ならぬ「クラシックの車窓から」。鉄道に関する作品や鉄道好きアーティストが登場する。

 指揮の和田一樹は2015年ブカレスト国際指揮者コンクールで準優勝した俊英で、京王ライナーオリジナルBGM「KO5000」(京王5000系座席指定列車で新宿駅停車中の車内放送で流されるBGM)を作曲している。サクソフォンの上野耕平は「生きているうちに日本全国の路線に乗ること」を目標とする正真正銘の「乗り鉄」。酒井格「シーサス・クロッシング」はサクソフォンと管弦楽のための11分ほどの協奏曲で、鉄道好きの秋山和慶指揮、札幌交響楽団、上野により初演された。タイトルは線路の分岐器の名前で、列車自動停止チャイムも模されるとのこと。J.シュトラウスⅡのポルカ「観光列車」はウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでもおなじみ。果たして和田は鉄道ラッパも吹くのだろうか。「機関車パシフィック231」は蒸気機関車が大好きだったオネゲルが力強い機関車を描写したと言われる彼の代表作。ドヴォルザークも大の鉄道好きで、鉄道に関する様々なエピソードが伝えられている。鉄ちゃんの熱いお話で盛り上がる楽しいコンサートになりそうだ。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2023年4月号より)

2023.4/15(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
https://www.tpo.or.jp