transit Vol.16 マリー=アンジュ・グッチ(ピアノ)

ヨーロッパ音楽界で注目を集める気鋭ピアニストが再来日!

(c)Caroline Doutre

 若い才能や未知のアーティストを紹介する王子ホールの「transit」シリーズの第16回目に登場するのは、ピアニストのマリー=アンジュ・グッチ。「グッチ」という印象的な名前に聞き覚えがある方も少なくないのではないだろうか。彼女は2018年と19年の「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」ですでに来日している。同音楽祭で抜擢された若い逸材が、数年後に国際的な注目を浴びる新星となって帰ってくるケースはこれまでにもたびたびあったが、グッチもそのひとりに名を連ねることになる。

 グッチはアルバニア出身。13歳でパリ国立高等音楽院ピアノ科に飛び級で入学し、ニコラ・アンゲリッシュに師事した。21年3月にはパリ管弦楽団にデビューを果たし、今年4月にはパーヴォ・ヤルヴィ指揮のもとN響定期にもデビューを果たす。すでにベルリン・コンツェルトハウス管やBBC交響楽団と共演するなど、急速に活躍の場を広げている。

 今回のリサイタルではシューマンの「クライスレリアーナ」、スクリャービンのピアノ・ソナタ第5番、ラヴェルの「鏡」より〈海原の小舟〉、ラフマニノフの「ショパンの主題による変奏曲」という聴きごたえのあるプログラムが組まれた。かつてのラ・フォル・ジュルネでは鮮烈な技巧と強靭な打鍵から生み出される透き通った音色に感銘を受けたものだが、あれからどのような成長を遂げているのだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年3月号より)

2023.4/29(土・祝)14:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990 
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