英国音楽のエッセンスに触れる2夜
イギリスの指揮者マーティン・ブラビンズといえば、多くのイギリス近現代音楽をCD録音して名前を知られ、現在は名古屋フィルの常任指揮者として評価を高めているマエストロ。東京都交響楽団にも数回客演し、プロコフィエフの交響曲などを指揮した。そのブラビンズが10/20と11/4の定期演奏会、得意とするイギリス音楽を手に都響の指揮台へと戻ってくる。
2日とも演奏されるのはウォルトンの交響曲およびヴォーン・ウィリアムズの作品。ウォルトンの交響曲第1番は尾高忠明らが取り上げて日本でも徐々に認知度が高まってきたが、2つの大戦間に生まれた“不安の時代の交響曲”としてイギリスでは大人気の名曲だ。30分ほどの中にストラヴィンスキーやヒンデミット風の硬質な抒情があふれている交響曲第2番も、演奏機会は少ないが秘曲探訪系のリスナーにはおすすめ。またイギリス民謡をモティーフにしたヴォーン・ウィリアムズ作曲の、2つの「ノーフォーク狂詩曲」(日本初演の第2番はレア中のレア!)では、いかにもイギリスらしい牧歌的な雰囲気が広がる。
さらに知性派ピアニストのスティーヴン・オズボーンが切れ味のいいブリテンの協奏曲(10/20)を、人気ヴァイオリニストのクロエ・ハンスリップが狂詩曲的なディーリアスの協奏曲(11/4)を演奏することにも注目だ。一度好きになったら奥深くて逃がれられないイギリス音楽の入り口として、ブラビンズの名匠ぶりと都響の底力を再発見するチャンスとして、オススメの2日間だ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)
第776回 定期演奏会Bシリーズ
10/20(月)19:00 サントリーホール
第777回 定期演奏会Aシリーズ
11/4(火)19:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:都響ガイド03-3822-0727
http://www.tmso.or.jp