ミハイル・プレトニョフ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

2つの“第1番”に興味津々


 近年は指揮者として世界的に活躍するミハイル・プレトニョフが東京フィルハーモニー交響楽団の定期に登場、韓国の若きピアニスト、チョ・ソンジンと共演する。
 チョ・ソンジンの名が日本で知られたのは2009年、第7回浜松国際ピアノコンクールで最年少の15歳で優勝したときだった。ブレハッチ、ガヴリリュク、コブリンなど、歴代の最上位に俊才のならぶコンクールだけに、この1994年ソウル生まれの少年も、以後の活躍が大いに期待されることになった。その期待を裏切ることなく、2年後のチャイコフスキー国際コンクールでは17歳の若さで3位を獲得、いまはパリに留学して、名ピアニストのミシェル・ベロフのもとで研鑽を重ねている。
 今回取りあげるのはショパンのピアノ協奏曲第1番。オーケストレーションの弱さを指摘されることが多いショパンのピアノ協奏曲だが、今回はプレトニョフが手を加えたバージョンを演奏するという。自身も名ピアニストであるプレトニョフが、若い才能をどのように引き立てるか、そしてどんなアレンジを聴かせてくれるのか、興味津々である。
 そして後半はスクリャービンの交響曲第1番。スクリャービンの交響曲といえば第4番「法悦の詩」や第5番「プロメテウス」などはときどき演奏会でも取りあげられるけれど、第1番はとても珍しい。最後の第6楽章には小山由美(メゾソプラノ)、福井敬(テノール)と新国立劇場合唱団が加わり、スクリャービン自作の“芸術讃歌”を高らかに歌う。実演でその響きに接する機会の少ない作品だけに、聴きのがせないコンサートだ。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)

第853回 サントリー定期シリーズ 
10/21(火)19:00 サントリーホール
第88回 東京オペラシティ定期シリーズ
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