“日本代表”と次世代を担う気鋭が注目の共演
室内楽ファンが注目する第一生命ホールの「クァルテット・ウィークエンド」。当シリーズに2001年のホールオープン時から毎年出演しているのが、日本を代表する弦楽四重奏団=クァルテット・エクセルシオだ。彼らは、18年度から若手団体を紹介し、八重奏で共演するシリーズを開始。今年はチェルカトーレ弦楽四重奏団が登場する。
1994年創設のQエクセルシオは、年間60公演以上を行う、日本では数少ない常設の弦楽四重奏団。2016年にはサントリーホール主催による2週間でのベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏を日本人団体として初めて果たすなど、その名を不動のものとしている。チェルカトーレQ(ヴァイオリン:関朋岳、戸澤采紀、ヴィオラ:中村詩子、チェロ:牟田口遥香)は、17年の結成。「探求者」の名を冠した彼らは、ルーマニア国際音楽コンクール第2位(最高位)ほか複数の賞を受賞し、各地の様々なコンサートに出演している。
今回は、最初にQエクセルシオがモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番「春」、次にチェルカトーレQがブラームスの同第1番を披露。明朗で精緻かつ瑞々しい「春」を緻密さと滋味を併せ持つ達人たち、劇的で重層的なブラームスをフレッシュな俊英たちが演奏するので、質感の違いが興味深い。後半はブルッフの弦楽八重奏曲(遺作)。1920年の作とは思えぬほど重厚でロマン派のテイストが濃い同曲は、生演奏自体が貴重だし、完成から100年を経た今なら作品の見直しに繋がる可能性も十分。ベテランと気鋭が相まみえる本公演は、あらゆる点で興趣と刺激に富んでいる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年2月号より)
2023.3/18(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net