2022年の第九はジョナサン・ノットと同じステージで!?
全40台のカメラで観る東京交響楽団の「第九」

文:編集部

 2020年3月、コロナの影響が拡大し始めて間もないころ、動画配信サイト「ニコニコチャンネル」で、オーケストラ史上初となる無観客コンサートを生中継し、2回の公演で20万人を超える視聴者を集めた東京交響楽団。コロナ禍における新しいオーケストラの鑑賞のカタチとして大きな注目を集め、その後「ニコニコ東京交響楽団(ニコ響)」というチャンネルを開設。

 そしてこの年末、また大きなプロジェクトが発表された。音楽監督ジョナサン・ノットが指揮する第九の模様を40台のカメラで生配信するという。コンサートマスター、ヴァイオリンの真横、トランペットの目の前など、様々なアングルからの臨場感溢れる映像を視聴者は自由に切り替えながら、奏者が目の前で演奏しているかのような感覚で楽しむことができる。当初は1台の予定だった指揮者狙いのカメラもジョナサン・ノット本人の「視聴者も一緒に演奏しよう!」という意向でなんと5台に!

40台のカメラ配置予定図

 そしてこの企画、実はぶらあぼも一役買っている。今年の4月に行ったニコ響のスタッフと東響の土屋さん(第1ヴァイオリン)と多井さん(ヴィオラ)の対談企画を起点に発展していったものだという。ニコ響を手掛けるドワンゴの高橋薫さんはきっかけを次のように語る。「今回の企画は、本当にあの対談の直後に思い立ったのです。何か新しいことをしてみたい…と考えていた時に対談のことを思い出して『そうだ、めっちゃカメラ置いてみよう!』と。そこで、クラシックの楽しみ方を広げることを目指しているニコ響としては、やっぱり日本人に馴染みがあって注目も集まる第九でやろうということになりました」。

 今回の見どころについては「やはり自分の見たいところをずーっと見ていられるというところでしょうか。プロの奏者が演奏していない時にどのような準備をしているかも見られるので、教材にもなるかもしれませんし、実は資料的な価値も高いのではないかと考えています」。確かにアーカイブ化されれば、学生やアマチュア奏者にとっても貴重な映像になるだろう。

 放送は、期間限定(12月28~31日)で、会員登録不要、無料で視聴できる。サントリーホールの会場チケットはすでに完売とのこと。ここは、普段見られないエキサイティングな映像で2022年の第九を満喫しよう。

東京交響楽団 第九2022
2022.12/28(水)18:30 サントリーホール
※18:00から配信開始

指揮=ジョナサン・ノット
ソプラノ=隠岐彩夏
メゾソプラノ=秋本悠希
テノール=小堀勇介
バリトン=与那城敬
合唱=東響コーラス
合唱指揮=冨平恭平

【複数カメラ切り替え】
全40台のカメラで見るベートーヴェン「第九」
演奏:東京交響楽団
特設サイト
https://site.nicovideo.jp/tokyosymphonyno9/


助成:文化庁「ARTS for the future! 2」 補助対象事業
https://tokyosymphony.jp