クァルテットの饗宴2022 ドーリック弦楽四重奏団

英国が誇るクァルテットの妙技に酔いしれる一夜

左より:アレックス・レディントン、エレーヌ・クレマン、イン・シュエ、ジョン・マイヤーズコフ
(c)George Garnier

 ドーリック弦楽四重奏団(アレックス・レディントン、イン・シュエ、エレーヌ・クレマン、ジョン・マイヤーズコフ)は、イギリスの新しい世代を代表する弦楽四重奏団の一つ。1998年、イギリス、サフォークで開催されていた「若い音楽家のためのサマー・ミュージック・スクールの室内楽コース」を契機として結成された。2007年、メルボルン国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門で入賞し、08年には、大阪国際室内楽コンクールで第1位、イタリアのパオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールで第2位に入賞している。10年にアメリカ・デビューを飾り、ウィグモア・ホールで定期的に演奏。CDもハイドン、モーツァルト、メンデルスゾーン、イギリス音楽など多数リリースしている。結成当時のメンバーからは、第2ヴァイオリンとヴィオラが替わった。とりわけヴィオラにソリストとしても活躍しているクレマンが加わることによって、クァルテットの演奏水準はさらにアップされた。

 今回の紀尾井ホールでの演奏会では、ドイツからボヘミアにかけて中央ヨーロッパの作品が並べられている。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番では、彼らのアンサンブルの妙が示されるであろう。ベルクの初期の作品である弦楽四重奏曲は、演奏会で取り上げられることが多いとはいえず、生で聴く貴重な機会となる。スメタナの弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」は、ヴィオラの活躍する曲だけに、クレマンの名技に注目。
文:山田治生
(ぶらあぼ2022年12月号より)

2023.3/7(火)19:00 紀尾井ホール 
2023.1/6(金)発売
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp 
https://kioihall.jp