【SACD】レジェンド/菊本和昭&竹沢絵里子

 N響首席奏者が“西方への旅”をテーマに構成した硬派のアルバム。近代フランスを主体としたオリジナル作品が8曲収録されている。大きなポイントは、C管トランペットやB♭管コルネットなど、作品に即して楽器が使い分けられている点。まずはその音色変化が興趣を盛り上げる。濃密かつシャープな音で変幻自在に繰り広げられる演奏も実に鮮やか。パリ音楽院の卒業試験課題曲も多いシリアスかつテクニカルな各曲が、スムーズに表現されており、唯一異質なスパーク作品も新鮮で愉しい。トランペットを知り尽くすピアノの竹沢絵里子の絶妙な合わせも貢献度大。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年11月号より)

【information】
SACD『レジェンド/菊本和昭&竹沢絵里子』

シュミット:組曲 op.133/ジョルジュ:ラルモールの伝説/エネスコ:伝説/ロパルツ:アンダンテとアレグロ/ビッチュ:カプリッチョ/シャルリエ:ソロ・ド・コンクール、同第2番/スパーク:協奏曲(ピアノ・リダクション版)

菊本和昭(トランペット)
竹沢絵里子(ピアノ)

オクタヴィア・レコード
OVCC-00166 ¥3520(税込)