【CD】旅〜ヴォワヤージュ/酒井茜

 アルゲリッチに認められ、ソリストはもちろん、室内楽奏者としても活躍するピアニスト酒井茜。本盤は“旅”をコンセプトに様々な作曲家の作品が収められた意欲的なプログラムとなっており、彼女のレパートリーの広さが活きている。バッハ「パルティータ第1番」の演奏は透明感のある音色と軽やかな装飾音の扱いが印象深く、ソナタ第2番に3曲のマズルカ(第39〜41番)が選ばれたショパンでは、旋律の歌いまわし、テンポ・ルバートなどでセンスの良さが光る。シマノフスキやマチエイェフスキらのマズルカは、個性豊かなハーモニーが酒井のデリケートな声部の弾き分けによってさらに魅力的な響きとして届く。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年9月号より)

【information】
CD『旅〜ヴォワヤージュ/酒井茜』

J.S.バッハ:パルティータ第1番 BWV825/シマノフスキ:マズルカ op.50/マチエイェフスキ:マズルカ〈第9番 タトラ山脈からのエコー〉〈第10番〉/ヴァインベルグ:マズルカ 第2番/シュピルマン:マズレック(マズルカ)/ショパン:ソナタ第2番「葬送」、3つのマズルカ op.63

酒井茜(ピアノ)

Acousence records
ACO-CD14322 ¥オープン価格