森麻季(ソプラノ) & 冨田一樹(パイプオルガン) コンサート 〜平和と愛の祈りをこめて

透明な歌声と神々しい響きが溶け合う天上のひととき

取材・文:香原斗志

冨田一樹

 ソプラノとパイプオルガン。意外なようで最強の組み合わせかもしれない。2016年バッハ国際コンクールのオルガン部門を制した冨田一樹が語る。「キリスト教会で讃美歌を伴奏する役割を担いつつ発展したパイプオルガンの音色は、人の声との相性が良いように作られています。特に今回ご一緒する森麻季さんの歌声には透き通るやさしさ、上品な力強さがあり、オルガンの音色を溶け合わせることで、森さんの表現する世界を深められると思います」。

森麻季 (c)Yuji Hori

 しかも最高の会場が選ばれている。「愛知県芸術劇場のパイプオルガンは日本最大級で、音色はやわらかく暖かみがあり、同時に華やかで輝かしい。ホールの豊かな残響も相まって高い演奏効果が得られます」。この楽器の本領がもっとも発揮されるのは「プログラム冒頭で演奏するJ.S.バッハ『トッカータとフーガ 二短調』でしょう。20代前半で書かれたとされる、若い情熱と野心がみなぎる独創的な音楽で、パイプオルガンの魅力が最大限に活かされます」。

 コンサートのテーマの一つは、ずばり「荘厳な響き」。もう一つは「祈り」だが、それについても冨田は「宗教的な作品が多く並ぶので、『祈り』を意識したコンサートになる」と続ける。「特に森さんの歌声とオルガンの響きが重なること、たくさんの旋律が重なり合うことで、祈りの世界が広がります」。

 オルガンの神々しい響き。森麻季の透き通る歌声。それらが時に溶け合って神にも届く。最高のひとときだ。

2022.9/1(木)14:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
問:クラシック名古屋052-678-5310
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