現代オペラの金字塔、新制作が実現
トレーラーも公開
ミニマル音楽の巨匠フィリップ・グラスと舞台演出家ロバート・ウィルソンによるオペラ《浜辺のアインシュタイン》(1976年初演)。この秋、日本では30年ぶりとなる上演が、神奈川県民ホールで実現する。
7月に同公演の特設サイトがオープンし、世界的な漫画家・映画監督として知られる大友克洋が制作したメインビジュアルが発表された。このコラボレーションは、以前から大友のファンだったという演出・振付の平原慎太郎からのオファーで実現。SF作家のように未来を予見し、時空を読み解く力を感じていたという大友に依頼したとのこと。手書きで描き下ろされたというその作品は、波打ち際でヴァイオリンを持って佇む人物が描かれており、「この人物は誰なのか」「どんな音楽を奏でているのか」想像を掻き立てるようなイラストとなっている。
大友克洋氏コメント(《浜辺のアインシュタイン》特設サイトより)
ーオファーを受けた理由は?
『浜辺のアインシュタイン』というタイトルからイメージが湧いたので。たまには海の絵を描こうと思った。
ーイラストの制作にあたって
久しぶりに絵を描いたので大変だった。
特設サイトでは、演出家や指揮者のメッセージ、神奈川県民ホール芸術参与・沼野雄司のコラムなども掲載されている。
神奈川県民ホールは、2025年の開館50周年に向けて新しいオペラシリーズをスタート。芸術総監督である一柳慧を中心に、25年までの3年間、「毎年様々なテーマで革新的な舞台芸術を創造発信する」同シリーズの第1弾として、《浜辺のアインシュタイン》が今年10月に新制作される。
同作は、音楽・ダンス・演劇といった様々な表現手段を通して「科学者アインシュタイン」を詩的に解釈することを試みたオペラ。オリジナルは4時間、セリフや歌詞はあるがストーリーはない。繰り返される旋律とダンスで構成される舞台である(今回の公演は一部の繰り返しを省略したオリジナルバージョン)。ステージには20名を越えるダンサーらが登場し、ヴァイオリンや電子オルガンをはじめとした楽器の音と声が、テクノミュージックのごとくひたすら繰り返され、独特のグルーヴ感を生み出す。視覚や聴覚を刺激する“イメージの演劇”とも呼ばれ、オペラのあり方とその芸術性を問う作品となっている。
演出・振付は振付家、ダンサーとして活躍する平原慎太郎、指揮は、高校卒業と同時に渡欧してオーストリアやドイツで研鑽を積み、現在は東京混声合唱団常任指揮を務めるキハラ良尚。ヴァイオリンの辻彩奈、Kバレエカンパニー名誉プリンシパルの中村祥子、セリフを担当する俳優の松雪泰子と田中要次などが出演する。各ジャンルの第一線で活躍するアーティストのコラボレーションがどのような舞台を生み出すのか。実演に期待が高まる。
〈ぶらあぼONLINEでは、後日インタビュー記事も掲載予定。どうぞお楽しみに!〉
神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズ Vol.1
ロバート・ウィルソン/フィリップ・グラス《浜辺のアインシュタイン》
(一部の繰り返しを省略したオリジナルバージョン/新制作/歌詞原語・台詞日本語上演)
2022.10/8(土)、10/9(日)各日13:30 神奈川県民ホール
音楽:フィリップ・グラス
台詞:クリストファー・ノウルズ、サミュエル・ジョンソン、ルシンダ・チャイルズ
翻訳:鴻巣友季子
演出・振付:平原慎太郎
指揮:キハラ良尚
●出演
松雪泰子
田中要次
中村祥子
辻彩奈(ヴァイオリン)
ほか
電子オルガン:中野翔太、高橋ドレミ
フルート:多久潤一朗、神田勇哉、梶原一紘(マグナムトリオ)
バスクラリネット:亀居優斗
サクソフォン:本堂誠、西村魁
合唱:東京混声合唱団
問:チケットかながわ0570-015-415