第166回 リクライニング・コンサート 廣津留すみれ ヴァイオリン・リサイタル

多才なヴァイオリニストが「夏の夜空」をテーマに癒しの音色を

 Hakuju Hallのリクライニング・コンサート・シリーズにヴァイオリニストの廣津留すみれが登場する。今年2月に、デア・リング東京オーケストラと共演したメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ほかでCDデビューを果たしたばかりだが、初アルバムにして弾き振りのライブ音源ということでも話題を呼んだ。日本の高校を卒業後、ハーバード大学で応用数学や社会学を学んだ。あるステージでの演奏をきっかけに「シルクロード・アンサンブル」に参加し、設立者であるヨーヨー・マと共演。その後、ジュリアード音楽院修士課程に進学、どちらも首席で卒業・修了し、帰国後は著書の出版やテレビ情報番組のコメンテーターとしても活躍の幅を広げるなど、多彩な才能を見せるアーティストだ。

 1時間の「リクライニング」で楽しめるプログラムとして廣津留が選んだのは、2016年の映画「ムーンライト」序曲、ガーシュウィン(ハイフェッツ編)の《ポーギーとベス》からのナンバー、マックス・リヒターの「Mercy(慰撫)」、大島ミチルの「メモリーズ」、ドビュッシーの「月の光」、“白鳥の歌”となったヴァイオリン・ソナタ。現代的でありながら、ゆったりと響きを味わえる作品が並び、コンセプトを浮き彫りにするプログラミングだ。ピアノ共演は、声楽家とのアンサンブルや、多数の音楽祭出演で高く評価されている河野紘子。2人の瑞々しいアンサンブルに、深く癒されるひと時を味わいたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2022年6月号より)

2022.7/26(火)15:00 19:30 Hakuju Hall【チケット完売】
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
https://hakujuhall.jp