プロコフィエフの9曲のソナタをピアノメーカー6社の楽器で演奏するコンサートシリーズ第3回目のライブ録音(2021年3月10日ヤマハホール)である。この回の使用楽器はヤマハCFX。曲目はプロコフィエフが亡命したパリに焦点をあてており、亡命中に書かれたソナタ第5番、第二次大戦中に書かれた第7番を中心に据え、パリに関連してショパン、リャードフ、スクリャービン、ラヴェルの作品も取り入れており、意欲的で盛りだくさんの内容だ。ヤマハCFXの芳醇な響きを活かし、上野優子のリリカルでドラマティックな演奏表現を堪能できる2枚組。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2022年5月号より)
【information】
CD『上野優子リサイタル with YAMAHA』
ショパン:舟歌/リャードフ:3つの小品 op.11/スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番「幻想」、詩曲「焔に向かって」/プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第5番、同第7番「戦争ソナタ」、思考/ラヴェル:「鏡」より 第2曲〈悲しい鳥たち〉、亡き王女のためのパヴァーヌ
上野優子(ピアノ)
収録:2021年3月、ヤマハホール(ライブ)
フォンテック
FOCD20129/30(2枚組) ¥3850(税込)