第10回神戸国際フルートコンクール結果発表

石井希衣が第3位入賞

 フルートに特化した世界有数のコンクールとして知られる神戸国際フルートコンクール(審査委員長:酒井秀明)の本選が、3月27日、オンラインで行われ、入賞者が発表された。10回目を迎えた今年は、スペインのラファエル・アドベス・バヨグ、イタリアのマリオ・ブルーノが第1位を分け合う形となった。日本勢で唯一ファイナルに進んだ石井希衣は、ポーランドのマリアンナ・ユリア・ジョウナッチェとともに第3位に入賞。第3次審査課題曲の現代曲において優秀な演奏者に贈られる特別賞は、マリオ・ブルーノとアンナ・コマロワが受賞した。
 入賞者には、賞金(第1位200万円、第3位50万円、第4位~第6位20万円)および賞状が贈られる。

〈第10回 神戸国際フルートコンクール 最終結果〉
第1位:ラファエル・アドベス・バヨグ Rafael ADOBAS BAYOG(スペイン)
第1位:マリオ・ブルーノ Mario BRUNO(イタリア)

第3位:石井希衣 ISHII Kie(日本)
第3位:マリアンナ・ユリア・ジョウナッチェ Marianna Julia ŻOŁNACZ(ポーランド)
第5位:アンナ・コマロワ Anna KOMAROVA(ロシア)
第6位:ジョイディ・スカーレット・ブランコ・ルイス Joidy Scarlet BLANCO LEWIS(ベネズエラ)


特別賞(現代曲賞):マリオ・ブルーノアンナ・コマロワ

 4年に一度開催されるこのコンクールは、1985年の創設以来、エマニュエル・パユら国際的に活躍する多くのフルート奏者を輩出してきた。第10回大会は、過去最多となる44ヵ国・483名の応募者から選ばれた53名が出場。新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催期日を2期に分け、第2次審査以降を今年3月に神戸で実施する方向で準備を進めていたが、変異株の拡大など新たな要因も重なり、本選までのすべての審査を動画によるオンライン審査に変更することを余儀なくされた。昨年8〜9月、第1次審査を初めてオンラインで実施してから半年。この3月、第2次審査〜本選までの第2期を迎えた。審査委員長の酒井のほか、NHK交響楽団首席奏者の神田寛明や、同コンクールの入賞歴もある東京藝術大学准教授の高木綾子などが審査にあたった。

 優勝したアドベス・バヨグは、スペイン出身。イビサ・フォルメンテラ音楽・舞踊学校およびカタルーニャ高等音楽院を経てミュンヘン音楽・演劇大学で学ぶ。2010年テオバルト・ベーム国際フルートコンクールで優勝したのち、2019年にはカール・ニールセン国際音楽コンクールにおいて第3位に入賞。また、同年行われたユーロ・フロートソロコンクールでは特別賞を受賞するなど、今後の活躍が期待されるフルート奏者の一人。同位1位のブルーノは、イタリア出身。フォッジア音楽院、シュトゥットガルト音楽演劇大学で学んだ後、ミュンヘン音楽・演劇大学で研鑽を積む。2017年には、セヴェリーノ・ガッツェローニ国際フルートコンクール、ケーラー・イル・トリロ賞コンクールをはじめ3つのコンクールを制し、着実に頭角を現している。

石井希衣

 石井は、福岡県出身。桐朋学園芸術短期大学を経て専攻科を修了。東京藝術大学別科にて研鑽を積む。2019年、第88回日本音楽コンクールにおいて第2位に入賞するほか、第19回日本フルートコンヴェンションコンクール ソロ部門での優勝などコンクールで受賞を重ねている。東京フィルハーモニー交響楽団、横浜シンフォニエッタと共演するなど、ソリストとしての活躍も期待されている。これまでフルートを梶原里美、宗美沙子、野口龍、高木綾子に、フラウト・トラヴェルソを菊池香苗に師事。

 3月28日に予定されていた表彰式・披露演奏会は、令和4年度以降に延期し神戸で行われる予定。

神戸国際フルートコンクール Kobe International Flute Competition
https://kobe-flute.jp