N響が2022-23シーズン定期公演プログラム詳細を発表

開幕はファビオ・ルイージのヴェルディ「レクイエム」

 NHK交響楽団が3月25日、新首席指揮者ファビオ・ルイージとともに迎える2022-23シーズン(2022年9月〜23年6月)の定期公演プログラムを発表した。従来どおりA, B, C 3系統のプログラムからなるが、A, Cプロは改修工事を終えるNHKホールに会場を戻しておこなわれる(Bプロはサントリーホール)。

Fabio Luisi ©Monika Rittershaus

 ルイージの就任記念と銘打たれた公演は9月の3演目。ヴェルディの大作「レクイエム」(22.9/10, 9/11)で開幕を飾った後は、ベートーヴェン&ブラームス(9/21, 9/22)、R.シュトラウス(9/16, 9/17)と、自身が得意とする王道のドイツ音楽が続く。そのほか、12月のブルックナー交響曲第2番(初稿)(12/3, 12/4)やドヴォルザーク「新世界より」(12/14, 12/15)から、23年5月のサン=サーンス&フランク(23.5/19, 5/20)まで、幅広い選曲で1年目のシーズンに臨む。ブルックナーとカップリングされた、ワーグナー「ヴェーゼンドンク歌曲集」(独唱:藤村実穂子)も必聴。

 首席指揮者の任期終盤、コロナ禍で指揮台に立つ機会が少なかったパーヴォ・ヤルヴィ(名誉指揮者)は、23年4月に3つのプログラムが予定されており、イベール、プーランクといったフランスものからR.シュトラウス「アルプス交響曲」まで、楽団のポテンシャルを十二分に発揮させるステージとなる。

 桂冠名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットは、95歳となる今年も日本の聴衆の前に姿を現す。マーラーの第9番(22.10/15, 10/16)に始まり、シューベルト(10/21, 10/22)や十八番のグリーグ&ニールセン(10/26, 10/27)といった得意のレパートリーを披露。名匠ならではの均整のとれた棒捌きでクラシック・ファンを魅了してくれそうだ。

 一方、ウクライナ情勢の影響でボリショイ劇場とトゥールーズ・キャピトル管の音楽監督を辞任し、今後の去就が注目されているトゥガン・ソヒエフは、23年1月に登場。独・露・仏の多彩なプログラムを色彩豊かに聴かせる。ベルリン・フィルの首席奏者にして、ソリストとしても活躍するアミハイ・グロスとのバルトーク「ヴィオラ協奏曲」も聴き逃がせない。

 そのほか、客演陣には、レナード・スラットキン、ヤクブ・フルシャ、ジャナンドレア・ノセダといった人気指揮者が並び、井上道義、尾高忠明、下野竜也の国内常連組も登場する。特に、フルシャとピョートル・アンデルシェフスキの顔合わせによるシマノフスキ「協奏交響曲」が聴けるのは貴重。

 なお、マチネ公演では、日曜日のAプロ、土曜日のCプロが14:00開演に繰り上げされるほか、通常よりコンパクトな60〜80分程度のプログラムのCプロは、金曜夜の開演が遅めの19:30となっている(「開演前の室内楽」あり)。

NHK交響楽団
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