ルターの宗教改革(=1517年)500年を記念して、日本福音ルーテル宮崎教会に奉献されたオルガンでバッハを演奏したアルバム。楽器は日本では稀なヒルデブラント様式(18世紀中部ドイツ様式)によるもので、3基の「ふいご」が設置され、本作では製作者自ら人力で風を送っている。しかも「ふいご手」への演奏開始の合図=ふいご呼鈴が録音されているという興味深い内容だ。演奏者は同教会のオルガン奏者で、歴史的な楽器の奏法を実践している松波久美子、演目はバッハのコラール。巨大オルガンとは異なる音色や空気感が独特の味わいを与えてくれる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年4月号より)
【information】
CD『宗教改革500年記念オルガンで聴くJ.S.Bach/松波久美子』
J.S.バッハ:「フーガの技法」より〈コントラプンクト Ⅰ〉、「おぉイェス、あなたは高貴な賜物」によるコラールと11のパルティータ、さぁ来てください 異邦人の救い主よ、おぉ 神の子羊よ 罪なく、私は神より離れません、いと高き神に栄光あれ、「イェス・キリスト、私たちの救い主」によるフーガ
松波久美子(オルガン)
横田宗隆(ふいご手)
コジマ録音
ALCD-1211 ¥3080(税込)